「脳科学」がダーツプレイヤーを救う時代がやってくる!?
「イップス」
この言葉を聞いてイヤ~な気持ちになった方、いませんか? スポーツ経験のある方なら、少なからず耳にしたことがある言葉のはず。イップスの定義は諸説ありますが、「ある日突然自分の思い通りにプレイが出来なくなる状態」を指します。原因がハッキリしないことが大きな問題点で、イップスになる⇒原因がハッキリしない⇒うまくいかない⇒落ち込む⇒嫌いになってしまう、というまさに「負のループ」に陥りがち。
ダーツはしばしば「メンタルスポーツ」と呼ばれることもあり、プレッシャーはもちろん、自分のミスをきっかけに次の一投も崩れてしまう・・・。 メンタルに非常に強く結びついているからこそ、ダーツをプレイする人にとってイップスはとっても怖く、そして身近な存在なのです。
そもそもイップスって克服できるの?
悩み抜いて自分だけで解決できれば万々歳、ですが皆さんはきっとこう思うでしょう。
そんなことができていたら、そもそもイップスになっていないよ!
今まさにイップスに陥っていて、藁にもすがる気持ちでいるプレイヤーさんがいるのかも・・・!
そこで、ダーツライブはこんな取り組みを始めました。
脳科学でイップスを克服しよう
今回の取り組みに協力してくださるのは、徳島大学名誉教授の荒木秀夫先生。
「コオーディネーショントレーニング」と呼ばれる運動能力向上の研究の第一人者で、 体がうまく動かせない人を脳科学の力で助けてきた豊富な実績を持っています。 過去に脳梗塞が原因で運動麻痺になってしまった患者さんが、先生の施術を受けて施術後すぐに思い通り手を動かすことができるようになったこともあったそうです。
荒木先生の施術を受ければ、イップスも克服できるのでは?
本当にイップスに効果があった!
2019 年9 月某日。イップスに悩んでいるダーツプレイヤー石田さんに来社いただきました。
<石田さんの症状>
・2018 年12 月頃から不調。
・きっかけは、「プロ資格をとったこと」のような気がする(本人談)。
・イップスかも、と認識し始めてから1 カ月間でレーティングが3 落ちた。その後昇降の末に、最終的にはレーティング15 から10 になってしまった。
・分析癖がある。
・フォロースローができなくなった。スロー動作の途中で腕が固まってしまい、しっかり伸ばすことができずダーツを投げられない。
荒木先生は、まず施術前にカウンセリングを実施。
石田さんのダーツのフォームを観察。さらに体の不調やどこに違和感を覚えるかなどを詳しくヒアリング。そのうえで、石田さんのイップスを引き起こしている原因の仮説を立てました。(実はこれも、コオーディネーショントレーニングに含まれる心理的トレーニングの一環とか・・・)
そして・・・身体活動としてのコオーディネーショントレーニング開始!
やわらかボールをキャッチし続けたり、テニスボールを2 個持ってキャッチボールをしてみたり、
延々と、ダーツを上から下へ落としてみたり…(※すべて施術の内容です)
その結果…
な、な、投げられるようになっている! 何故!?
石田さんのイップスの症状をみて、荒木先生はこのように考えました。
・石田さんは,論理的に詰めていくタイプ。
・言葉の心理的効果をねらった「言語教示」により、石田さんのイップスを緩和させられる、と仮説。
・仮説のもと意図的に体を動かし、脳の中で間違ってコオーディネートされた「投げ方」を壊し、過去に形づけられた「本来の石田さんの投げ方」を再び脳の中でコオーディネートしよう。
上記の考えをもとに石田さん専用の施術を考え、実行していたのです。
見事、石田さんには抜群の効果アリ! あんなにダーツを投げるのがつらそうだったにも関わらず…
最後はハットトリック!!
石田さん「正直、今日ここに来るまでは半信半疑でした。今までは腕が引っ掛かって、このあとどうやって投げたらいいのか全く分からなかったのに、(施術を受けて)今はそれが全くないです」
石田さん、満面の笑顔でそのまま帰宅。後日丁寧なお礼のメールも送って下さいました。お力になれて、本当によかった! 気持ち良くダーツを投げられるのが、やっぱり一番楽しいですよね。
※今回の施術は、石田さんご本人に合わせた内容です。イップスのトレーニングは、選手によってそれぞれ異なります。まずは「見立てる」ことからコオーディネーショントレーニングが始まります。
※施術中に行ったトレーニングを今後も継続する、もしくはバージョンアップしたトレーニングを取り入れることで効果が持続し、より快調に向かっていくとのことです。
※コオーディネートし直したことで、今後突発的にパフォーマンスが向上することも期待できるそうです。
実はこんなこともやっていた「コオーディネーショントレーニングの講演会」
石田さんが超回復した数週間前。9 月13 日(金)にダーツライブのオフィスがあるセガサミー本社ビルにて、講演会が開催されました。その名も『ダーツにおけるコオーディネーショントレーニングの講演会』! もちろんスピーカーは荒木先生です。
講演会にはなんと・・・約100 名の方が来場! 自分の不調に悩むダーツプレイヤー、知識を高めたいスポーツ指導者の方、学校の先生などさまざまな方が真剣に聴講。
講演会の中では、不調だったゴルフ選手やサッカー選手に対し、荒木先生が施術を行いイップスを克服してきた実績を紹介。また、ダーツは「フィジカルスポーツ(体を大きく動かす競技全般)」と「マインドスポーツ(囲碁・将棋・チェス等)」のちょうど中間にある希少な競技だと説明。
今後も、ダーツをすることで得られる特別な運動効果や、上達するための方法について科学的に研究を行っていく予定です。
脳科学が、悩めるダーツプレイヤーの助けになる時代がやってくるかも・・・!
講演会の日も、実演タイムにご協力いただいた石田さん。本当にありがとうございました!
(講演会主催:株式会社MPandC、株式会社ダーツライブ)
■荒木秀夫先生略歴
徳島大学名誉教授。運動の発生・発達に即して身体・脳・心への刺激を与えて、知的・身体的能力の向上を目指す独自の「コオーディネーショントレーニング」を提唱している実践的な脳科学の第一人者。 現在はNPO法人「JACOT」の理事長をはじめ、全国で講演会・講座を行うとともに、集団や個人に対する実践的な支援活動を行っています。
■荒木流コオーディネーショントレーニングとは?
運動を始める前に運動を早く学習できるようにする”学ぶ力”を得ることを最大目的としたトレーニング。運動する前に脳・身体に直接刺激を与えて、身体能力を向上させる(=運動がうまくなる)という手法です。
・幼児期から、人間本来の体力・運動能力が底上げされる。
・体を正しく動かすことができ、ケガが少なくなる。
・高齢期になっても健康効果が見込める。
など、さまざまな好効果が予測され実際に結果報告もされています。